砂の味
翌日、３月３日
私は夜勤明けの翌日で、休日。
昼前から、私の実家に
私と、さとこ、子供二人の四人で
上の娘（当時小１）の、雛祭りのお祝いをしに向かいました。
何も言葉を発したくありません。
そんな気分ではありません。
ですが、子供の手前、そんな訳にもいかず・・・
無理やり言葉を紡ぎ出す、ただただ苦痛な時間。
実家まで、車で約３０分ほどですが
生涯で一番長く感じた３０分。
心は、昨日から、私の元にはありません。
自分が自分でないような、奇妙な感覚に包まれたまま。
実家に到着し、雛祭りのお祝い
みんなで昼食を摂り、ケーキを食します。
母親と、子供の手前、「美味しい！」とは口にしますが
何も味がしません・・・
砂を食べているような錯覚に囚われます。
子供のお祝い、子供のため
そう自分自身に言い聞かせ続けます。
私だけが、まるで異空間に居るかのような感覚。
夕食は、母親が奮発してくれたんでしょう。
すき焼きでした。いい肉です。
母親、さとこ、子供達は
「美味しい！」「美味しい！」の声の中
箸がガンガン進んでいきます。
私だけが、ほとんど食べていません。
やはり、味がしないんです。
砂を食ってるみたいです・・・
「体調でも悪いの？」
さとこが聞いてきますが、「大丈夫」と答えるのが精一杯。
生涯で一番、味のしないすき焼き。
翌日は、私は日勤なので
家に帰る時間がやってきました。
四人で帰路につきます。
子供達は、はしゃいで疲れたんでしょう。
車が動き出してすぐに、夢の中へ。
沈黙の時間が続きます。
沈黙に耐え切れず、私は
さとこに聞いてしまいます。
「なあ」
「なにか、隠し事してないか？」
「何もないけどどうかした？」
・・・・・
沈黙が再度訪れます。
しばらくの沈黙の後、私は
言ってしまいます。
「なあ・・・」
「オレ、家の、共有の前のスマホ、見てしもてん・・・」
何を言われているか、全てではないにせよ悟ったのか？
さとこの表情が、一瞬で固まります。
下を向いたまま一言も発しません。
「なあ」
「マモル、って誰なん？」
もし、これが逆の立場だったら・・・
もし、私がさとこに言われたとしたなら・・・
普段から、逆の立場ならどうか？を考えてたりする私ですが
私なら、謝ります。
謝って済む問題ではないかもだけど
まずは謝ります。
バレてしまった以上、それ以外に打つ手はないから。
普通ならそうだろう・・・
私はそう、思っていました。
しかし
さとこは
想像の域を遥かに超えた
言葉を発してきました・・・
平静を装うことの難しさ
生活というのは
残酷な場面もあります。
その時の私の精神状態は
間違いなく、人生最悪の状態。
その日は、さとこはパートの仕事に行っており
パートの日は、私が子供を保育園に迎えに行かないといけません。
その時点で、もうすぐ夕方
子供のお迎えに行かないといけない時間が迫っていました。
数時間涙を流し続けた私の顔は
間違いなく、酷い状態なはず。鏡を見るのも怖くて見れない。
でも、お迎えに行く時間はすぐそこに迫っています。
とりあえず、サッとシャワーを浴びて
帽子を深々と被り、お迎えに向かいます。
子供には嘘をつけませんね。
「今日のパパ、元気ないね」
と開口一番、言われました。
「そんなことないよ」と言葉を繕いますが
何かあった、ということはバレバレだったと思います。
家に帰り、子供としばらく部屋で遊んでいたら
さとこがパートから帰ってきました。
私は、普段通りにしていたつもりでしたが
何か雰囲気が違うんでしょうね
「何かあった？」
「いや・・・何もないよ」
そうとしか答えられませんでした。
夕食後、子供とお風呂に入った後
いつもなら、まだまだ起きていること確実の時間
２１時に布団に行き
夜勤明けで、一睡もしていなかったからなのか・・・
二時間ほどの、寝たふり、の後
眠りに落ちました。
心壊れる
何度もページを閉じようとしました。
見てはいけない・・・
見てもいいことは絶対書いていない・・・
ここでスルーすれば、無かったことにできる・・・
ですが、一度見てしまったものは引き返せず・・・
順に目を通していきます。
かなり前ですし、mixi自体今は全く使わないので
ハッキリとは覚えていないのですが
まず、メッセージ欄のところに目がいきました。
男と思われるメッセージを開いてみると・・・
やり取りが長く、長く続いています。
最初はさとこから声をかけたようです。
旦那と上手くいってない
旦那とはイヤイヤだけど、元々私は行為が大好き
男と待ち合わせて、そのままホテルへ
その後は、男がホテル代をケチったのか？
男の家で会うようになり
続いて出てきたワードが
男に連れて行かれたのが最初で、その後常連に
そこからは、ＬＩＮＥかなにかでやり取りしていたのか
mixiはそこまででした。
不思議と怒りは生まれませんでした。
その代わり、生まれた感情は
虚無感
その場で、何一つ感情が動かないまま
座り込んでいました。
涙だけが、とめどもなく溢れてきます。
スマホの画面がぼやけます。何も見えません。
見ようという気すら起きません。
自分の感情が全くコントロール出来ない状態は
この時が初めてでした。
そんな放心状態が、一時間以上でしょうか
経った時、私は
今思えば、何でその行動をしたのか？分かりませんが
デジカメを出してきて、スクロールしながら写真を撮り始めます。
別に、証拠として残したいと思ったわけじゃない
その時、私は何も考えていませんし、そもそも考えられる状態ではない。
なぜ、その時
その行動をしたのか？
今でも分かりません。
その時の写真は
離婚となった際にも一切出さず
そのまま消去しました。
二度と、見たくなかったからです。
パンドラの箱
さとこの、実家へ帰る回数は
徐々に増えていき
その頃には、私が夜勤の時はほぼ
実家に子供を連れて帰っていました。
実家の母親にみてもらっていたら
育児疲れの身体も少しは休まるだろう
そう思っていました。
いや、今思えば違います。
違和感は感じ取っていたんです。
ですが、そう自分に思い込ませていました。
そうすることで、心の平衡を保っていたんでしょう。
当時は、もうスマホの時代。
私も、さとこも、スマホは二代目。
さとこの初代のスマホは、ネット閲覧用に残してありました。
実家に行っている時
夜は、LINEをしても未読スルー。
朝になってようやく既読が付きます。
6年前だったかな...
人は、ショックな事、イヤな事を忘れようとする生物。
なので、ハッキリ覚えてないんですが
3月2日
この日付は、翌日に私の実家で
上の娘の雛祭りのお祝いをしたので覚えています。
その日は夜勤明け。
もちろん、さとこと、子供二人は実家に行っています。
誰もいない自宅に帰宅。
今思えば、おかしな光景ですね。
旦那であり父親の私が、夜勤から帰宅したら
いつも一人ぼっち。それが日常。
それをおかしい、と思えないほどに
私の心は痩せ細っていたのかもしれません。
自分のスマホで、よく見るサイトを見ていました。
お腹が空いたので、近くのローソンで弁当とお茶を買い
誰もいない自宅で昼食タイム。
あまり、味のしない昼食。
横になって、家で共有で使っていた
さとこの初代スマホを手に取ります。
普段は、自分のスマホだけで事足りるので
めったに手にすることはないんですが
なぜか？その日は先代スマホを手に取りました。
ネットを見ていて
ふと
昔よくやっていた、mixiを思い出します。
ああ
昔よくやってたなぁ
アカウントは残してあります。
すごく久しぶりに、mixiを見ようと思い
ブックマークから、mixiにログインしようと開くと
さとこの
昔のニックネームの
トップページが開きました。
ログアウトしてなかったんでしょうね。
胸の鼓動が高まります...
見てはいけない...
分かっています、そんなことは。
見ても、私にとっていいことが書いてある可能性は
ゼロなのも分かっています。
そんなこと
分かりきっているはずなのに...
私は
見てしまいます...
離婚論
離婚
正直、いい言葉ではありませんし
いい響きではありません。
あえて、進んで「離婚したいわ～～♪」なんて人
いますかね？いないと思います。
私は、バツ２です。
世間からすれば、「こいつ、クズやわ」と罵られても
仕方がない経歴ではあります。
しかし、視点を変えれば
二回結婚出来たわけです。でないと、二回離婚出来ません。
二回の結婚と、二回の離婚という、経験値を得たとも解釈出来ます。
視点を変えると、景色が変わります。
それが、いい景色かどうかは分かりませんけどね。人それぞれです。
後々、書いていきますが
現在、私は子供に会いに行っていません。
最初の頃、離婚直後は頻繁に行ってたんですけどね。
ちゃんと自分で考えて、理由あって行っていません。
もちろん、養育費はちゃんと払っていますよ。
まあこれは、私自身のプライドを保つ意味合いもありますけど。
離婚も経験値の一つである
私がそう考えるようになったのは
周りの人の声を聴いてみたからです。
離婚経験者と、未経験者（未婚の方もこちらに含みます）
双方の意見を聞くとですね
面白いことが分かります。
笑ってしまうくらい
正反対なところがあるんです。
離婚経験者の方は
私が、嘘を交えず本音を喋っているのもありますが
全部ではありませんが、私の気持ちに共感してくれるところがあります。
まあ、経験があるから、というのもありますけどね。
綺麗事は言いません。押しつけがましさもありません。
対して、離婚未経験の方
綺麗事ばかり言ってきます。もうそればっかりです。
「子供がかわいそうやろ！」とかね
もうね・・・
あなたに一体何が分かるんや～～？？？
何を言ってるのかさっぱり分からんのやけど～？？？
とガチで突っ込み入れたくなる衝動に駆られます。
私も、いい歳こいたオッサンなんで
年齢なりのスルースキルくらい持っているので
反応はしませんけどね。
私も、最近分かったことですが
遅いねん！遅すぎるねん！と突っ込み入れるとこですが
自分の人生は、全て自分のものです。
その代わり、何があっても全て自己責任。
ここを、他人に任せるからおかしなことになる。
自分の人生ではなく、他人の人生を歩んでしまうことになる。
そんな人生
楽しいかなぁ？？？
私は、元嫁に「期待」してしまった。
元嫁がちゃんとしてくれたら、なんとかなるかも、と「期待」した。
私が変わりさえすればなんとかなるかも、と「期待」した。
親も含む、周りに救世主がもしかしたら現れるかもしれない、と「期待」した。
全て他力本願
どこにも、欠片も、自力が入っていない。
あの時私は
「人のせい」「なにかのせい」に
したかったんでしょうね。
そうすることで、心の逃げ場を作っていたような気がする。
逃げてもどうにもならんのにね。
いろんなことが最近分かってきた。
それに伴って、視界が明るくなってきた。
見慣れている景色が、彩を増した。
人は、いつであっても
自分の意志で
変われる。
結婚生活スタート
私にとっては
二度目の結婚式
でも、さとこにとっては
記念すべき初めての結婚式
私はそんなに裕福ではないので、ゴージャスにするのは無理でしたが
結婚式を挙げました。
しばらくは、私の実家で住むことにしました。
子供が生まれる時、そして子供が生まれた後
さとこと子供からすれば、祖母がいた方が便利と考えたからです。
そして、第一子が生まれました。
女の子でした。
三人 プラス 一人（うちの母、さとこからすれば姑）の生活スタートです。
うちの母親は、優しいといえば優しいですが
頑固です。言い出したら折れません。
自分の意見を曲げません。今でも同じということは
筋金入りなんでしょうね。
途中から予想はしていましたが
当然のように、嫁姑問題が勃発。
間に挟まれまくりになった私。
どっちの味方をする？
上手く間を取り持つ？？？ 無理ゲーにも程があります。
このまま続けば・・・ハゲるかも？
幸いなことに、今でもフサフサですが。
心の中の世紀の一戦は、嫁勝利となりました。
そして、少し離れた地域にマンションを借りて、引っ越ししました。
今思えば・・・この頃から少しずつ
夫婦関係は壊れていっていたのかもしれません。
どっちが悪いとかじゃなく、どちらにも責任はあるんでしょう。
ですが、少しずつ、ほんの少しずつ
壊れていっていたのだと思います。
夫婦の営みは減り、会話も減っていきます。
さとこの母は、車で一時間程のところに住んでいるのですが
そこに子供を連れて泊まりで行くことも増えていきました。
私は、看護師をしています。病棟勤務で、夜勤が月に６～７回ほどあります。
加えて、実家を出て住みだした頃より、月３回ほどバイト夜勤もしていました。
生活費の足しにしようと思って。
その当時、私は月２～３万円くらいの小遣い制にしていました。
嫁さんに家計を預けた方が、夫婦円満にいくと考えたからです。
少しまとめます。
夜勤は、バイトも同じで、１７時間勤務
夜勤回数は、バイトを含めると月９～１０回
家計は任せている
浮気をするための条件が
揃いすぎていますね。笑ってしまうほどに。
もちろん、条件はあくまで副次的要素でしかなく
浮気・不倫、法的に言えば不貞
する人は状態に関係なくやってしまうし
しない人はどんな状態であってもしないと思います。
その人の、本来持つ資質みたいなものなのかもしれませんね。
実際に、元嫁の浮気が発覚するのは
まだ先の話です。
要は、まだプロローグみたいなもんです。
適度に端折りながら、日記を続けます。
出会い～結婚
当時、バツ１
最初の結婚が終焉を迎え、フリーとなっていた頃
正直な話
けっこう遊んでいました。
モラル的にはいけない事なんでしょうが
寂しかったんでしょうね。
一人っ子なのもあるのかな？
今でも人一倍、寂しがりやさんです。
この当時、不倫も経験しました。
いけない事だとは分かっていましたが
ハマってしまいました。
修羅場とならなかったのは、ただ単に
運が良かっただけです。
今となれば、決しておすすめはしませんし
自分にも許可を出しませんが
当時の私は、おかしくなっていたのかもしれません。
最初の結婚の話は、後日書いていくかもしれませんが
どうするかは正直分かりません。
私の人生に、いい意味でも悪い意味でも
大きな影響を与えたのは、元嫁ですから。
そんな中
当時、モバゲーが流行っていまして
その、入っていたコミュニティの飲み会に行ったんです。
そこで出会ったのが、元嫁。さとこ（仮名）
第一印象は、明るい普通のコだな、と思った記憶があります。
年齢差（１４歳差でした）も大きく、最初は
これ、さすがにアカンやろ・・・
と思っていましたが、何度も会ううちに惹かれていき
付き合うようになります。
地方から出てきたコで、観光地やデートスポットなどは
ほとんど知りませんでした。
さとこにしてみれば
未経験のことばかりで、楽しかったのかもしれません。
ただ、それだけだったのかもしれませんが
今となっては分かりません。
私は、元々アクティブな方で
いろんな事に興味を示しますし、やってみたいと思う性質。
夏は海、冬はスノボ、など
いろんなところに一緒に出かけました。
恥ずかしながら、出来婚です。
妊娠が分かり、当時はめっちゃ好きでしたし
責任も取らないといけません。
私は当時バツ１ですから、結婚式には正直興味が全くありません。
ですが、さとこにとっては初めての結婚。
小さいながらも、結婚式をあげることにしました。
元嫁と過ごした時間。
その中で、この時が最高潮の時間。
めっちゃ幸せでした。
まさか
あんなことになるとは・・・
夢にも思っていませんでした。
はじめに
医療機関で働く、アラフィフ♂
バツ2
バツ2・・・・・世間の方から見れば
ただの「クズ野郎」なのかもしれません。
人間失格の烙印を押されても仕方ないのかもしれません。
否定はしません。
ですが、黒い過去であれ、経験値の一つでもあります。
今でこそ笑っていられますが、当時の私は心壊れる一歩手前までいきました。
自殺も考えたことがあります。
故に、ほんの一部なのでしょうが、心壊れる人の気持ちが分かります。
人の心は、簡単に壊れます。意外なまでに。
バツ2になることになった、原因は
元嫁の
浮気です。
浮気という、簡単な言葉では言い表せない複雑な実情がありますが
法律的に言うところの「不貞行為」で
私は離婚しました。
この時期が、私の心の、人生最大の「底」です。
この経験があるからこそ、今私は強く生きられています。
私の中では、不貞行為、つまりは「不倫」は
「絶対悪」ではありません。
道徳的には「悪」であっても、実際は「必要悪」であったりもします。
生きていく中、心には、安全弁が必要な場面が存在します。
バッシングされるのを覚悟で言いますが、繰り返します。
「悪」には、「絶対悪」と「必要悪」があります。
波瀾万丈な私の人生。
このまま埋もれたままにしておくのも勿体ない。
どこかで何かの、誰かの、役に立つかもしれない。
そう思い、備忘録としてブログに残してみることにしました。
あくまで、日記としての位置付けですので
誹謗中傷は避けていただきたく思います。
二度目の結婚～離婚についてを中心として
私なりの、結婚・離婚・不貞についての考えを
ブログにて発信していきます。
